小児科ガイド:急な症状の対応・健診・予防接種のポイントを解説

乳幼児健診も小児科の大事な仕事

ホームドクターを見つけましょう

子供が身体面と精神面の双方で健全な発育をしているかを調べ、病気や発育の遅れの早期発見につなげるために行われる乳幼児健診には、お住まいの地域の保健所・健診センターなどで同じ年齢の子が一斉に受ける「集団健診」と、受診する小児科を自分で選ぶ「個別健診」があります。

乳幼児健診は、保健所でやるものと思っている方も多いですが、近年は公費負担で地域の小児科専門クリニックで受けられる市町村が増えてきました。

クリニックでの健診は通常の診察に加えて、身体測定は勿論、視覚・聴覚、運動機能や神経的な発達が月齢年齢相当に発達しているかどうかなどもチェックします。さらに食事のこと、育児で困っていることもなども気軽に相談できます。代人数で行う保健所の検診に比べて、時間的に余裕があるのもメリットです。

クリニックで健診を受ける場合は、今後、子供が病気になった場合などを想定して、もし「かかりつけ医(ホームドクター)」が決まっていたら、そこの小児科で受けるのが最善です。カルテには初診の日からの記録が必ず記載されているので、小児科医は子供の普段の様子を把握することができるからです。

まだかかりつけ医が決まっていないというという方は、健診を機会に選んでみるのも良い方法です。選択基準としては、経験と知識が豊富でわかりやすく説明してくれる医師と看護師がいる、電話予約制をとっている(混雑緩和のため)、一般診療とは別に健診の時間枠があるところ…などが挙げられます。

健診における観察ポイント

母子手帳、健康保険証を忘れずに!

一番最初に受診するのが母親の「産後健診」と一緒に行われることが多い「1ヶ月健診」です。基本的な身体測定を行い、体重の増加具合は順調か、水頭症など先天性の病気はないかなどを診ます。

体重の増加が極端に少ない場合などは、栄養不足だけでなく、大きな病気が原因である可能性もあるので、精密検査が行われる場合もあります。小児科医は赤ちゃんの授乳の回数や睡眠のリズム、便の色などの健康状態も母親に尋ねるので、聞かれたときにはキチンと応えられるようにしておきます。

続いては、赤ちゃんが声を立てて笑い、動くものに視線を合わせ、首も据わってくる頃に行われる「3-4ヶ月健診」です。コミュニケーションを覚える初期の段階ですので、小児科医は赤ちゃんの日常生活の様子を母親から聞いて判断材料とします。したがって、日頃から赤ちゃんの行動をよく観察し、疑問に思ったことは必ず医師に伝えるようにします。携帯電話で撮った動画を一緒に見て相談するのも良いでしょう。

実際の健診では、身体測定(身長・体重・胸囲・頭囲)を行った後、視線の動き、斜視の有無、外陰部の病気(陰嚢水腫や停留睾丸、ヘルニア等)の有無、心臓の雑音などのチェックを行います。寝返りやはいはい、歩行という体の発達の中で最も基本的な運動機能を果たすのは首ですので、首の据わり具合を観察することもこの検診の重要な目的の一つです。1ヶ月健診では症状が軽かったため、発見につながらなかった先天的異常が明らかになるのもこの健診です。

疑問は遠慮なく医師に質問しましょう

続く「6-7ヶ月健診」が行われる頃になると、赤ちゃんは、物を手で掴んだり、寝返りをうったり、人見知りをしたり、あやすと泣き止んで笑うなど人間としての仕草がそれなりにできるようになっています。

運動発達のレベルを把握する大きなポイントとして、この健診では赤ちゃんが自分ひとりで「寝返り」と「お座り」をすることができるかどうかを見ます。

この時期に家庭でもできる簡単な検査方法に「ハンカチテスト」があります。

これは赤ちゃんを仰向けに寝せたうえで、顔に厚めの布(光を通さない物)をかぶせ、自分の手で払いのけることができるかどうかをチェックするものです。簡単なようですが、6ヶ月未満の赤ちゃんにはこの動作はできません。>布を払いのけることができるということは、布を脳で認知し、手で掴みとるという協調運動が正常に働き、邪魔なものを払いのけるという高度な知能発達ができているという証です。

物を認識して、掴めないと掴まり立ちができないので、この時期にハンカチテストが上手く行かないのであれば、精密検査が必要な場合もあるので、医師とよく相談します。