「定期のワクチン接種だけで十分」という考え方はリスクが伴います
日本で受けることができる予防接種には、法律(予防接種法)で定められている「定期接種」と、それ以外の「任意接種」の2つに分けることができます。
定期接種ワクチンは規定の期間内、回数内であれば公費で接種を受けることができます。一方、任意接種ワクチンは一部に自治体の公費助成があるものもありますが、多くの場合は全額自己負担となります。
「定期接種ワクチンだけで大丈夫」と考えている保護者の方が少なくありませんが、VPD(Vaccine Preventable Diseasesの略:ワクチンで防げる病気)から子供を守るためには、任意接種ワクチンも重要です。
「任意接種になっているくらいだから、仮に発症しても、定期接種のVPDに比べて症状が軽いのではないか」というのはよくある誤解です。近年、麻疹(はしか)での死亡例は亡くなりましたが、みずぼうそうでは毎年10人以上が死亡しています。
軽い病気と考えられがちのおたふく風邪でも約30人が脳炎となり、約1000人に1人が高度の難聴などが起こっています。また、肺炎球菌感染症やヒブ感染症は、細菌性髄膜炎を引き起こす危険性の高い病気です(これらの2つの病気のワクチンは2013年から定期接種に変更)。
また、お金がかかるので、子供に任意のワクチン接種を控えさせる保護者の方もいらっしゃるかと思います。しかし、その結果、もし上記の病気にかかってしまった場合の治療費は、ワクチンの接種費用の何倍にもなってしまいます。
そしてなによりも、病気を発症した本人がつらいだけでなく、保護者や家族にも大きな負担がかかることになり、大きな後悔につながります。それを防ぐためにも、任意接種のワクチンも積極的に受けることを一度真剣に考えてみることをおすすめします。