麻疹は30%の割合で肺炎、脳炎などの合併症を引き起こします
麻疹(はしか)は麻疹ウイルスが原因で起こる病気で、感染後約10日間の潜伏期を経た後に、風に似た症状(高熱、鼻水、咳、めやに等)が現れます。発熱3~4日目から、赤い発疹が出て、口の中に白いブツブツ(コプリック斑)が見られます。
感染力が強いため、保育園や幼稚園などで麻疹の患者さんがでると、予防接種を受けていない9割以上の子供にも感染が広がるとされています。感染が拡大するのを防ぐため、熱が下がっても、3日経つまでは保育園、幼稚園、学校へ行くことはできません。
麻疹は合併症を起こしやすく、患者さんの約30%に肺炎、脳炎、気管支炎などがみられ、肺炎や脳炎で死亡するケースも年間で数十例あります。この数字はアメリカで麻疹を発症する患者数とほぼ同数なので、日本は先進諸外国に比べて麻疹患者は非常に多いということになります。
また亜急性硬化性全脳炎(SSPE)と呼ばれる難病を発病することもあります。これは麻疹になってから数年後に知能障害や痙攣が起きて、発病が分かります。現段階では根本的な治療法もないため、これらの合併症を防ぐためにも麻疹ワクチンの予防接種を受けることが大切です。
麻疹ワクチンを接種すれば、ほぼ確実に予防できる病気です。仮に麻疹になってもワクチンを受けていれば、症状は軽くて済みます。麻疹ワクチンには単独での接種とMR(麻疹風疹混合)ワクチンがありますが、通常はMRワクチンを1歳と小学校入学の前の年の2回接種します。2種類のワクチンが混合されているからといって、単独での接種に比べて副反応が強いという心配はありません。
接種して7~10日目に発熱や発疹がでることがありますが、これは予想される副反応で、人に移ることもなく、1~2日で自然に治ります。なお、麻疹を発症して医療機関を受診する際には、通院と昼夜待合室で他の人に感染させないことも重要です。麻疹の可能性が疑われる場合には、予め医療機関の受付に相談しておくとよいでしょう。