WHOが最重要のワクチンと位置づける小児用肺炎球菌ワクチン
鼻や喉から体内に入った肺炎球菌が引き起こす肺炎球菌感染症。子供では細菌性髄膜炎や敗血症、重い肺炎、細菌性中耳炎などの病気を引き起こします。
なかでも細菌性髄膜炎を発症する人の半数は0歳児、約8割は2歳前の子供となっています。これは子供、中でも赤ちゃんは肺炎球菌に対する抗体がほとんどないため、重症化する傾向にあるためです。
細菌性髄膜炎になっても初期の症状は発熱と不機嫌くらいで、血液検査を行っても通常の風邪特別できないケースが多くなっています。その後ぐったりする、痙攣、意識障害などの症状が現れます。
髄膜炎に伴う合併症は多くあり、発達・知能・運動障害、難聴などの後遺症、最悪の場合、死亡するケースもあります。肺炎球菌による細菌性髄膜炎にかかる子供は、ヒブ(インフルエンザ菌b型)による髄膜炎に比べると数は少ないものの、死亡率は7~10%、後遺症の発生率が30~40%と、ヒブの約2倍となっています。
肺炎球菌感染症は抗菌薬に耐性を示すものも多く、治療が大変ですので、小児用肺炎球菌ワクチン(不活化ワクチン)で予防するのが一番です。このワクチンは約90種類ある肺炎球菌のうち、重症化しやすいものを7種類選んで作られたものです。WHO(世界保健機関)は小児用肺炎球菌ワクチンを最重要ワクチンの一つに位置づけており、世界各国でその効果と安全性が確かめられていますので、安心して接種できます。
小児用肺炎球菌ワクチンは2013年度からそれまでの任意接種から定期接種に変わりました(予防接種法の一部改正)。対象となるのは0~4歳児で、初回は生後2~7ヶ月に行います。1歳を過ぎて4回目を打てば確実に免疫ができます。髄膜炎のもう一つの原因であるヒブのワクチンも同時に受けることができますので、同時接種が勧められます。